Column / 2019.11.11
水野しず×桃月なしこ「カフェ・ド・人間性」 Vol.3~私、けっこう噛みつくタイプです~
水野しずがゲストの“人間性”に焦点を当てて対談をする「カフェ・ド・人間性」。今回のゲストはbisレギュラーモデルに決まった桃月なしこさん。コスプレイヤーとしても人気を集める彼女に、じっくりお話を聞きました。
カフェ・ド・人間性 Vol.3
しず:人前に立つ仕事をするといろんな見られ方をするから、そのぶん苦悩もあるじゃないですか。勝手に自分の内面じゃないものを投影されたり、「性格悪そう」って言われたりね。そういうのって、スルーできる?
なしこ:最初のころはすごく気にしてました。まぁでも、分母が多くなればなるほど批判する人も増えますからね。逆に支持してくれる人も増えたから、「いろんな価値観があるよね」って、ちょっとずつスルーできるようになっていきました。「性格悪い」とか内面的なことを言われても、「この人は私の何を知ってるんだろうな~」って思いながら高みの見物をしてます(笑)。
しず:売出し方が「オタクの趣味をお金にしようとしていて汚い!」とか言われることもありそうですよね。
なしこ:言われますね~。最近は私、同じオタクでも、アニメとかより女性アイドルのほうが好きなんですよ。推しは、 26 時のマスカレイドっていうグループの来栖りんちゃん。それで、ちゃんと自分でお金を払ってアイドル現場に行ってるのに、「売名だ」とか「職権濫用」って言ってくる人がいて。「アイドル好きな自分を演出するために行ってる」とか。それを演出してどうすんねんって話ですよ(笑)。それも最初のうちは気にしてたけど、今はもう、「好きに言っててください」っていう気持ちです。
しず:けっこうメンタルが強いですね。
なしこ:全然そんなことはなくて、昔は弱かったです。ただ最近は嬉しいことに忙しくなってきたので、そんなことをいちいち気にしてる暇がなくなってきたっていうのが大きいかな(笑)。それまでは、けっこうSNSで他のヲタクに噛みつきがちだったんですけど(笑)。
しず:噛みつくタイプだったんだ。
なしこ:ムカつくことを言ってくるヲタクをさらしたりもしてました(笑)。
しず:事務所自体もネット世代的な感覚の芸能事務所だから、“古きよき”芸能事務所と比べて堅苦しい感じがないのかな。
なしこ:それはそうですけど、とはいえ人によるかなって思います。私はかなり自由にさせてもらってるほうかな。自分ではそれが、ファン層がみんなと違うからだと思っていて。
しず:どう違うんですか?
なしこ:なんだろう、芸能のお仕事をさせてもらってるんですけど、SNSのフォロワーさんたちは、わりと私のことを芸能人扱いしてないというか。
しず:そのほうがいいですよね。「芸能人」っていう言葉自体、ある意味では無意識に差別的なニュアンスを孕んでいるような、曖昧でよくわからない言葉ですし。
なしこ:そこに親しみを感じてくれてるのかなと思うから、私はもう本当にしょうもないことまでTwitterで呟いたりするし、今思ってることとかもすぐに呟いちゃう。さすがに言っていいことと悪いことの区別はつけてるつもりですけど、普通の芸能人だったら言えないようなグレーゾーンを攻めることはよくあります(笑)。
しず:言える範囲でいいんですけど、たとえばどんなことですか?
なしこ:最近だと、「舞台の出待ちをやめろ」みたいなツイートですかね。8月に出てた舞台の出待ちがけっこうヒドかったのに、舞台の公式アカウントからも一切アナウンスがなかったんですよ。私は実際にそこまで被害がなかったけど、他の出演者の子はそれでけっこう滅入ったりしていて。だから言っちゃった(笑)。
しず:そういうのをハッキリ言えるタイプなんですね。
なしこ:本当は私が言うことじゃないんでしょうけど。でも、こりゃマズいと思って。
しず:それってすごく嫌われ役というか、損な役回りじゃないですか。なのに自ら進んでやれるというのは、まさに「イケメン」って感じ。そういう内面性って、世間には浸透しているんですか?
なしこ:浸透させるためにSNSをやってるっていう感じですね。SNSで私のことを知ってくれてる人には、だいたい伝わってると思います。
Vol.4に続く…
Artwork&Interview_Shizu Mizuno