Column / 2019.06.28
幸せなことって?―“12階から飛び降り”モカの「悩める女子へ…」Vol.4
「お金を稼いだら、夢を叶えたら、幸せになれると思って、人は頑張りますよね。そこで、私は自分の人生を振り返ってみたんです。女装イベント『プロパガンダ』を主宰して、夢だった漫画家にもなれて、やりたいことをやれていた。私は自分の願望を全部達成したのに、幸せじゃありませんでした。それって、何か大事なことを見落としている。自分が幸せになるためには、具体的な形を求めてはいけないのかなと思ったんです」
そう語るのは、4月に共著『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(モカ・高野真吾/光文社)を上梓したモカさん(33)。インパクトのある題名の本だが、約3年前、モカさんはビルの12階から飛び降りた経験がある。モカさんが無償の“悩み相談”をスタートさせたのは、“人のために何かをする”という実験的な試みだったそう。
「私の人生、ずっと幸せじゃなかったかといえば、そんなことはないんです。『プロパガンダ』は楽しいことのひとつでした。準備は大変でしたが、イベントが始まれば、みんなが盛り上がって、楽しんでくれて、やってよかったといつも思っていました。私は人のために何かをしてあげると、幸せを感じるのかもしれないと気が付いたんです」
そこでモカさんは、お金などの見返りを一切貰わず、自分が有名になるなどの欲もなく、ただ困っている人たちの話を聞いてあげる“悩み相談”を始めた。純粋に人に何かをしてあげることが、自分にとって幸せなのかどうかを試してみたのだ。やってみた結果、自分が与えているつもりでも、多くのことを与えられていることに気が付いたとモカさんは言う。
「単純に目の前の人が喜んでくれると、自分も幸福感を抱くことができました。すぐにできるし、自分の得意なことや知っていることを話してあげるだけですから。自分の経験上話せることと話せないこと、わかることとわからないことがありますが、それでもいいんです。ボランティアの奉仕という精神ではなく、打算的でもいいから自分のために他人に貢献するという考えでいいと思っているんです」
モカ
1986年東京都生まれ。経営者、漫画家、元男性のトランスジェンダー。
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