Column / 2019.06.19
はじまり―“12階から飛び降り”モカの「悩める女子へ…」Vol.1
「私は生まれた性は男性ですが、3歳頃からおぼろげに『女の子になりたいな』と思っていました。3兄弟の長男でしたが、幼い頃はおとなしく、絵を描いたり、シルバニアファミリーなどの人形遊びをしたりするのが好きな子どもでしたね」
そう語るのは、4月に共著『12階から飛び降りて一度死んだ私が伝えたいこと』(モカ・高野真吾/光文社)を上梓したモカさん(33)。インパクトのある題名の本だが、約3年前、モカさんはビルの12階から飛び降りた経験がある。奇跡的に一命を取りとめた彼女の半生とは――?
「LGBTの当事者だと、幼少期に親や兄弟に『男らしくしなさい』など性別を強制されたり、学校でいじめられたりする経験がある人も多いのですが、幸い私はそうした経験をせずに育ちました。3月生まれだからか、クラスでも子ども扱いされ、ぼんやりと『私は周りとは違うかもしれない』と思っていたくらいです」
性別への違和感は成長期に入り、強くなった。中学卒業前、15歳のときから、モカさんは自分で錠剤のホルモン剤を海外から輸入して、飲み始めたという。
「当然、怖い気持ちもありましたが、覚悟を決めて……。当時はインターネットで15歳からホルモン投与をしてどうなるかという情報もありませんでしたが、一度やろうと決めたら突っ走るタイプなんです(笑)。高校に進学しましたが、ほぼ行かずに、新宿2丁目に入り浸っていました」
中学時代からモカさんは『ミンキーハウス』というブログを書いていた。中性的な男性という立ち位置で書き綴り、爆発的な人気ブログに。
「ゲイの人だとより男性っぽく、髪を短くしたり、髭を伸ばしたり、筋肉をつけたりする方が多い。でも、私は性別も見た目も曖昧だった。オフ会を開けば、そうしたLGBTにカテゴライズされない人たちが集まってくれた。ほぼ毎日、新宿2丁目で20人くらい集まりました」
モカ
1986年東京都生まれ。経営者、漫画家、元男性のトランスジェンダー。
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