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Interview

Interview / 2023.03.27

SNSでバズった”15秒ソング”がデビューのきっかけ。足立佳奈の過去と未来

2023年bisが注目する、無限の可能性を持った女の子にフォーカス。高校生のときにSNSに投稿した“15秒ソング”、『笑顔の作り方〜キムチ〜』が話題となりデビューに繋がった、シンガーソングライターの足立佳奈さんに迫ります。2022年に活動し始めてから5周年を迎え、今の心境を語ります。等身大の素顔が垣間見える、とっておきの話をチェックして。

「思い出が濃いなぁ」と思いながらもあっという間の5年間

トップス¥50,820 /ヤンヤン(リディア) Tシャツ¥14,850 /メゾン・ジー・シモーヌ(イチミ) スカート¥63,800 /シー ニューヨーク(ブランドニュース) シューズ¥11,500 /チャールズ&キース(チャールズ&キース ジャパン) リング¥4,400、イヤリング¥7,700 /ともにソムニウム タイツ/スタイリスト私物

2022年は足立さんのデビュー5周年でしたが、この5年を振り返ってみてどうですか?

学生時代って大人よりも変化が多いとき。気持ちの面でも外見でも変化があるので、「思い出が濃いなぁ」と思いながらもあっという間の5年間でしたね。いちばん記憶にあるのは、やっぱり8月30日のメジャーデビューの日! スタートということで、それまでは“デビュー”ってよくわからなかった自分もいたけど、特別な日だと改めて思います。

デビューのきっかけは『笑顔の作り方〜キムチ〜』ですよね。15秒ソングという新鮮さもありましたが、なぜあの楽曲が生まれたのですか? 

「校長先生の話ってありがたいけど長いな」と思ったことからできました。歌も同様に短いほうがどの人にも伝わるんじゃないかって思って、15秒ソングをSNSにアップしました。正直あんなにバズるとは、誰しも思っていなかったと思います(笑)。

そのときからどんなアーティストになりたいなど夢はありましたか?

私がアーティストになりたいと思ったのは小学生。ちょうど友達関係がうまくいかず悩んでいたときに、アンジェラ・アキさんの『手紙〜拝啓十五の君へ〜』に出合ったことがきっかけです。「こんなにも寄り添ってくれる言葉や音楽ってあるんだ」と初めて思い、自分も寄り添える音楽を届けられる人になりたいと思っていました。「負けないで、泣かないで」という歌詞が今でもすごく印象に残っています。

辛いときはどうやって乗り越えてきましたか?

誰かに話して共感してもらうこと。共有だけだと、その先に否定をされて嫌なことがあるかもしれない。だけど、共感をしてもらえると救われます。自分の考えがもし間違っていたとしても、その人が「間違っていないよ」と言ってくれるのはうれしい。いつも高校時代の友達とおじいちゃんおばあちゃん、マネージャーさんによく相談します。その友達とは一緒に住んでいたこともあって、心の友というか、家族みたいな存在です。

20代になり「大人の方と濃い話が1対1でできるようになった」

高校生の10代から大人になった20代の今、どんな変化がありましたか?

周りの人がどう見ているかが変わったと思います。10代だと、学生で二足のわらじ。「がんばっているね」と、言ってもらいながら日々過ごさせてもらっていました。そうやって言ってもらえて、どこか自分でも「うれしいな」とフワッとした気持ちだったんですよ。だけど、20代になって大学生活も終わった今、やっと大人の仲間入りができた気がしています。より意見を聞いてもらえるようになったり、大人の方と濃い話が1対1でできるようになったり、成長した感じがします。

大人の方とは具体的にどんな話をしますか?

こんな楽曲を作りたいとかお仕事の話をします。10代のときは楽曲が0から1になる瞬間をあまり理解していませんでした。この楽曲の後ろには誰がいて、どうやって作られているかをすべてはわかっていなかったし、頼るところが多かった。今だと「こんなミュージシャンとご一緒してみたい!」とか「こういう響きがいいから、マイクはこっちがいい」とか音楽を作るということがわかってきたので、意見を言わせてもらえることが増えました。もちろん今までお任せしている中でも意見はあったし、その中でその時点での濃いものを作っていたんですけどね。でも、今はよりパーソナルな自分の色を歌にも出せるようになったかなって思います。

5周年ということで、4月から12月まで毎月リリース。始めようと思ったきっかけは?

5周年の前からちょっとずつ、みなさんに曲を通して「私、5周年に向かっているよ」ということと「勢いよく上っていきたい!」という気持ちを共有して、みなさんとより共感ができたらいいなと思い、4月から連続リリースをさせてもらいました。

連続リリース期間は大変でしたね。

大変というよりもうれしい気持ちが大きかったです。リアルタイムで自分の気持ちを落とし込んだフレッシュな楽曲を届けることができるのはとてもうれしいことでした!

では、リリースされた曲の中で今いちばん聴きたい曲は?

今の気分だと、9月にリリースした『いまだけ』。ちょっと気持ちがローなときにもアコースティックでシンプルなサウンドでそばにいてくれる感じが好きです。ちょうど今朝も聴いてきました。歌詞はちょっと切ないラブソングで、肌寒い季節にぴったりだと思います。

楽曲を作る上で、インスピレーションはどこから得ますか?

日常ですね。生活の中で、気分が沈んだり、上がったり、自分の喜怒哀楽が見えたときに曲を作ります。そのときの自分の感情をバーッと書き出してサビを考えることが多いかな。曲を作ることが自分にとってのストレス発散でもあるんです。みんながおいしいご飯を食べてスッキリするように、私は曲を作ることで気分が落ち着きます。だから、リリースはしていないけど、自分の中に秘めている曲もあります。あとは、人の話を聞いていいと思った言葉や言い回し、本で読んだ言葉をメモに取るようにしています。

読書もされるんですね。最近はどんな言葉に心が救われましたか?

本のタイトルを忘れてしまったのですが、「“言葉にできない”ということはいいこと」という言葉。好きな人のいいところを聞かれて「なんか好きなんだよね、言葉にできないけど」ってよくありますよね? でもそれって、自分の中にしかない誰にも共有できないくらい大切な感情。だから共有しなくていいし、言葉にできなくていいと書かれていたんです。それを読んでからは気が楽になりましたし、素敵な考え方だなって思いました。

音楽は、大切だけど離れたいときもある“家族”のような存在

足立さんにとって音楽はどんな存在ですか?

今までもこれからも、家族みたいな存在だと思います。大切なんだけど、憎いと思う瞬間があったり、離れたいときがあったりしても、離れさせてくれない。音楽ってどこに行ってもありますよね。だから離れられない運命なんだと思います。

これからも大切にしていきたいことはありますか?

等身大であることとストレートな言葉選び。私がかっこいいと思うシンガーソングライターって自分の生き様を描いていく人。なので、自分が生きている中で経験したことや聞いた話、いいと思うものを言葉にして綴っていけたら自分が理想とするシンガーソングライターになれると思っています。あとは、正直に気持ちを伝えることです。いろいろな人がいて、さまざまな意見がある。その中で一度きりの自分の人生を考えたときに「後悔はしたくない」と思いました。だから、素直な気持ちをぶつけようと思うし、持ち続けたいです。

素直な気持ちを言うのは怖くなかったですか?

勇気がいることですよね。だけど、気持ちを伝えたあとは自分がカラッとしていて、言ってよかったと思うことのほうが多い。誰かを傷つけるかもしれない言葉も言葉選び次第ではちゃんと伝わるし、お互いに伝え合うことが大切だと思います。

では今後やってみたいことはありますか?

野球が好きなので、高校野球の応援ソング! 低音も高音もぜんぶ使って歌い切る、全身でパワーを届けられる楽曲ができたらいいな。あとは、アンジェラ・アキさんの背中を見てアーティストになったので、優しくどんなときも包み込めるような、海のように広い合唱曲を作りたいですね。私がアンジェラ・アキさんに救われたように、そばにいてくれると思ってもらえるようなアーティストになりたい。

5年後の自分に声をかけるならなんとかけますか?

「幸せですか?」と聞きたいです。5年後って、まだ28歳ですよね。だったら、まだまだシンガーソングライターでいたいな。自分が辞めなければずっとそうなんですけどね。「歌を続けていますか?」って聞きたいし、続けていてほしいですね。

2月15日には4枚目のアルバムをリリース。『Seeker』に対する思いも聞かせてください。

アルバムはどんなものにするか正直とても悩みました。4月から12月までリリースした曲をぜんぶ聴き直したとき「こんなにも気持ちってコロコロ変わってしまうんだな」って思ったんです。そのときは感情が変わることはよくないと、どこかで思っていて……。だけど、見方を変えてみようと思って考えていたときに「探求者=Seeker」という言葉に辿り着きました。探求者って変わっていくのが当たり前。「そうか、変わっていくことっていいこと。探求者という人がいるように、私はきっと今そういう人なんだ」と思えるようになりました。だから、いろんな気持ちを一曲一曲に詰め込んで『Seeker』というタイトルにしました。答えが変わることは優柔不断だと言われたりするけど、変わっていくことは当たり前だし、学んでいるということにもつながる。それでいいんだなって思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

みなさんにお伝えしたいことは、変わっていくことは素敵なこと! このアルバムが何かのヒントになったらうれしいです。ぜひ、今後ともあたたかく見守ってください!

足立佳奈さんの素顔に迫るQ&A♡

Q.口癖は?

「なんかさ」ですね。口癖に気づいて、前回のアルバムでは1曲目に『なんかさ』という曲も作りました(笑)。つい言ってしまうんですよね。

Q.最近あった幸せエピソードは?

アンジェラ・アキさんと偶然にも同じお店でギターを買ったこと! ご縁を感じました♡ サインと一緒に写真を撮ってもらうくらい、うれしかったです。

Q.趣味は?

寝ること。「寝ていいよ」と言われたらどこまでも寝てしまいますね。朝の7時だと思ったら、夜の7時だったこととかも。横向きで寝るのが私の癖です。

足立佳奈 Kana Adachi

1999年10月14日、岐阜県生まれ。2017年8月メジャーデビュー。4thアルバム『Seeker』を2月15日に発売し、3月2日からはアルバムリリースツアー『ADACHI KANA LIVE TOUR 2023 -Seeker-』を全国7カ所にて開催中。

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Photography_Shiori Ota Styling_Miri Wada Hair & Makeup_Karen Suzuki Text_Aiko Ishizu Edit_Megumi Shimbo