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Interview

Interview / 2022.11.29

【鞘師里保インタビュー】モー娘。卒業、留学、活動再開……アーティストとしての軌跡をたどる

心に響く歌詞に、耳に残るメロディー。楽しいときは気分を高めてくれて、落ち込んだときは助けてくれる不思議な魅力を持つ音楽を発信するアーティスト達は、どんな人間なんだろうか? モーニング娘。を卒業後、アーティストとして活動中の鞘師里保さんにお話を聞きました。

私が思う幸せを発信するのでヒントを見つけてほしい

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――モーニング娘。で人気絶頂の中、卒業そしてアメリカ留学のため活動休止を選ばれた鞘師里保さん。2020年に芸能活動を再開後さらなる飛躍を遂げていますが、どのようなことがきっかけで現在に至ったのでしょうか?

グループを離れようと思ったのは、17歳ぐらいのころ。将来のことを考えたときに、このまま同じ環境にいて大丈夫なのかなと不安に思うようになりました。自分の性格を考えると、もう少し自分で考えて行動するような環境に身を置かないと、成長できないんじゃないかって。冒険することをやめようと思ったときに、それを人のせいにしてしまうような自分にはなりたくなかったんですよね。これはグループ活動でたくさん試練を与えてもらって、“自分には何ができるのかな?”って考える機会を増やしてもらったからこそ思えたことだと思います。そこでニューヨークに留学することを決めたんですが、海外に行ってみると、自分が想像したことのないような経歴でアーティストをやっている方がたくさんいたんです。もともとアーティスト一家だったって方もいらっしゃいますけど、田舎で育って裕福じゃなかったけど今ニューヨークで活躍されていたり、オーディションに落ちたけどその後にこんなことが起こって……とか。たくさんの方とお話しすることで、“苦しい時期があってもその後どう過ごすかで人生が変わるんだな”、“こういうやり方もできるんだ!”っていろいろ可能性が見えて、ちょっとだけ自信がついたんです。感覚的な問題なんですけど、自分のコンプレックスやネガティブな要素も少しずつではありますが、全部よかったなと変換できるようになって。自分自身をアップデートできたからこそ、移住ではなく、また日本に戻って活動できているような気がします。

――海外留学が鞘師さんにとってのプラスになったんですね。ちなみに海外留学したことで、音楽性に何か変化はありましたか?

聴く音楽の幅は広がったっていうのはありますね。もともとはストリングス(弦楽器を主体とした音楽)が利いているような曲をあまり好んで聴いていなかったんですが、POPSで使われていたり、ダンスレッスンで踊る機会があったりとかして、爽やかな曲やトレンドの音楽も幅広く楽しむことができるようになりました。今、アーティスト活動をしている中でも、自分が好きな音楽が増えたことで、表現したい曲やダンスパフォーマンスの可能性も広がっていくので、それはよかったですね。もうすぐ今年のファーストツアーを収録したBlu-rayを発売するのですが、このツアーも、“これから走り出します”というメッセージを込めながら、いろいろな楽曲やパフォーマンスでライブの楽しさを全力で発揮できました。

――逆に昔も今も変わらない、音楽活動で軸としていることはありますか?

“自分が納得したものだけを発信する”ということをずっと大事にしています。好きな楽曲でないとやらないのは大前提ですが、自分にとってチャレンジングなものであっても、この曲はちゃんと歌やダンスで自分の色にできるからやる、という納得の仕方もあると思うんです。やっぱり、ダンスも踊ってしまったら自分の踊り方や表現にしかならないので。誰かに流されているなって気持ちにならずに、自分の曲にしたな、自分の曲にできたなって思いながらやるようにしているのは、昔から常に心がけていることですね。今は特に歌詞を自分で書くことがあるし、曲の方向性はいろいろな人と話し合って決めますけど、そういう意志はさらに強くなっていると思います。

――今まで作詞をされた中で、いちばん思い入れのあるフレーズを教えてください。

私が初めて歌詞を書いた『Find Me Out』の、“判断するにはまだ早いけどちょうど良い理由ならきっと幾つもあるし”。普段、歌詞は絞り出して書くタイプなんですが、これは唯一サラッと書けた曲なんです。真意としては、そのときの結論に対していいか悪いかを決めるのって、言い方や捉え方でどうにでもなるよね! みたいなことを言いたかったんだと思います。
例え大学受験に失敗したとしても、それで人生が終わるわけじゃない。私は今やっと楽しく人生を生きていけているんですけど(笑)、もっとネガティブな時期とかもあって。でも、そのときの生活で起きていること自体は今とそんなに変わっていないんです。どうせ、でも、だって、みたいな感じに言ってしまうことがすごく多かっただけ。考え方の変換の仕方を勉強したり、思考のクセを変えたり、自分が幸せになりたいんだったら、自分で幸せになる考え方の努力をしなきゃなって思って過ごせるようになったからこそ出た言葉だと思うんですけど、めずらしく降ってきたみたいな歌詞なので、今でも思い入れがありますね。

――今後、どのようなアーティストになっていきたいですか?

“鞘師がそういうふうにしているんだったら、私は別のやり方だけどこうしてみよう!”みたいな、それぞれの幸せになる正解を見つけてもらえる存在になれたらうれしいです。私みたいになりたいって思ってもらえることは、それはそれですごく幸せなことではあるんですけど(笑)、私は私なりに幸せだと思う人生を送って音楽を発信していくので、その姿を見てヒントにしてほしい。個々の世界や人生がちゃんとあって、でもやっぱりみんなライブは好きだよね! みたいな関係性をファンの方と作れるのが、私にとっての幸せなんです。

Inspired me

元々はモーニング娘。が明確なきっかけとなって芸能界を目指したんですが、HIPHOPやR&Bをよく聴いていて。だから今でも洋楽や海外のアーティストには親しみがありますし、影響を受けますね。

My song’s partner

歌詞やリズムをロジカルに考えるときはカフェに行くんですけど、ノイズキャンセリングのイヤホンは欠かせません。そこにキャップをかぶれば、パーソナルスペースができて集中できるんです。

Fills my heart

インテリアを整えるのがすごく好きなので、おしゃれな家具を見たり、模様替えをすると満たされます。シンプルな家具が多いんですけど、最近は水色のクッションを購入。気分転換になりました!

Profile

鞘師里保 Riho Sayashi

1998年5月28日生まれ、広島県出身。アイドルグループ「モーニング娘。」の9期メンバーとしてデビューし、2015年に卒業。ダンス留学を経て2020年より芸能活動を再開。現在はアーティスト活動のほか、俳優としても活躍している。

Information

今年開催されたツアーの初日公演を収録したBlu-ray『RIHO SAYASHI 1st LIVE TOUR 2022 Reflection』が発売中。

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Photo_Yuzo Touge Styling_Hitomi Imamura Hair&Make-up_Kurumi Komatsu(ROI) Model_Riho Sayashi Edit&Text_Natsumi Takahashi(Spacy72)