Column / 2023.07.22
「“陰キャ”って言われてた」特撮ヒロイン・森日菜美が生い立ちを語る【水野しず対談】
ゲストの「人間性」に焦点を当てて対談するカフェ・ド・人間性。今回は女優、モデル、グラビアでも活躍中の森日菜美さんにお話を聞きました。女優さんとして王道の活躍をされているように見える森さんですが、葛藤に葛藤を重ねた隠キャ時代も実は長かったようで……。
水野しずが森日菜美の魅力に迫る!
ゲスト:森日菜美
東京都出身。女優、モデル。中学生のときにオーディションを受け、14歳でデビュー。実家は小松菜農家。出演作は『機界戦隊ゼンカイジャー』フリント・ゴールドツイカー役など。
聞き手:水野しず
聞き手。イラストレーター、POP思想家。著書『親切人間論』(講談社)発売中。
水野しず(以下、しず):14歳から事務所に所属しているんですよね。かなり早いなって思いました。
森日菜美(以下、日菜美):当時は何もわからず、興味があるっていうくらいでした。中学校から帰ってきて、再放送でやっていたTVドラマ『1リットルの涙』を観たときに、自分はあっち側の人間になりたいって思ったのが始まりで。
しず:ずっと役者になりたい気持ちが強かったんですね。
日菜美:入口はそうですね。
しず:中学生でオーディションを受けるのって、ハードルが高くないですか?
日菜美:でも、何かのインタビューで「事務所に入るなら早いほうがいい」っていうのを見て、そうなんだなって思ったんですよ。当時は「飛び込んじゃえ!」っていう気持ちでスタートした気がします。
しず:子どものころは、思いついたら即行動みたいなノリがいい感じだったんですか?
日菜美:物おじしない性格でした。
しず:そんな感じがします(笑)。わりと他人に警戒もしない感じ?
日菜美:そこは自分で見極めて(笑)。事務所に入ったんですけど、最初は両親も事務所の方も学業と両立するようにと言ってくれていたので、自分の中でも心掛けてましたね。
しず:勉強は好きだったんですか?
日菜美:そんなに好きじゃなかったけど、小学5年生くらいから塾に通って、中学受験をしたんですよ。
しず:すごいですね。しかも、東京で!
日菜美:ただ私、おてんば娘だったので、塾も4~5コ変わったりとかして……。
しず:変わりすぎですよ(爆笑)。
日菜美:先生にちょっかい出したりとか。勉強するというよりも、友達とご飯へ行くために塾に通ってました(笑)。
しず:塾帰りに食べるポテトとか、いちばんおいしいですよね……。わかっちゃう(笑)。
日菜美:そうなんですよ! 菓子パンとかもめちゃくちゃ食べてたから太っちゃって、びっくりしました。
しず:でも、中学受験は成功したんですよね。
日菜美:3つ受けて、3つとも受かったんですよ。その当時は水泳が好きだったので、その中から水泳部がある学校を選びました。
しず:アクティブなタイプだったんですね。
日菜美:アクティブだけど、ずっと人見知りで。身内とは話せるのに、初対面の人とはぜんぜん話せなかったです。今ほど明るいタイプではなかったですね。今のマネージャーさんは4年前くらいから私についてくださってるんですけど、最初のころはほとんど話せなくて、「陰キャ」って言われていたくらい(笑)。
しず:えぇ! それが結構続いた?
日菜美:事務所に入った14歳から18~19歳くらいまで、学校も友達関係もお仕事もうまくいかなくて。
しず:話しやすいタイプだと思うんですけど、なんでうまくいかなかったんですか?
日菜美:自分の学校に芸能のお仕事をしている子がいないし、テストのためにみんながんばって勉強している中で馴染めなかったり、なんのために大学へ行くんだろうって考えてしまったり。葛藤をしている時期で、苦しんでました。
しず:お仕事でうまくいかなかったっていうのは?
日菜美:自分からコミュニケーションが取れなかったことですね。私から話せないので、マネージャーさんも私が何を思っているのかわからなかったでしょうし。女優になりたくて入ったのに、オーディションも受からない。まわりの友達は、「これをやりたいから、この大学へ行く」って進路が段々と決まっている時期だったので、自分はどうしようって悩みました。
しず:その時期は、没頭できる趣味みたいなものってあったんですか?
日菜美:映画がずっと好きだったので、よく観てました。当時は普通の女子高生だったので、少女漫画とか、少女漫画原作の映画に惹かれてましたね。
しず:家族との関係は良好だったんですか?
日菜美:いちばん信頼してるし、なんでも相談していました。ただ、おうちに帰るとずっと私がマシンガントークをしちゃうから、みんな聞いてくれなくて(笑)。
しず:心を開ける友達の存在は?
日菜美:うーん。高校のときもあまりいなくて。このお仕事でもやっと最近できたくらい。心を開いて話して、わかってもらえなかったらどうしようって思ったら、積極的に仲よくなれなかったです。
しず:今日会ったときにたくさん話しかけてくださったので、ポップな方なのかと思ったんですけど、違ったんですね(笑)。
日菜美:そうなんですよ……。根はわりと暗くて(笑)。今でも、マネージャーさんと話し合いをしているときは暗くて、ネガティブを直すように注意されたり。昔、「事務所の全員に挨拶してきなさい」って言われて、練習したこともあります。でも、そういう経験が大きかったなって思いますね。ただ、私、悔しいことがあったら泣きわめくんですけど、その後はケロッとして「お腹すいた~」って言っているようなタイプなので、寝たら忘れられるんです。
しず:シャイだけど、暗いことばかり考えているわけでもなさそうですね。
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Artwork&Interview_Shizu Mizuno