Interview / 2020.09.19
【上白石萌歌】出演中の舞台『ゲルニカ』にかける想いを熱く語る♡
bis10月号のカバーストーリーを飾ってくれた上白石萌歌ちゃんにインタビュー。9月4日からPARCO劇場にて上演中の舞台『ゲルニカ』に出演する意気込みや、舞台の内容についてたっぷり語っていただきました!
舞台『ゲルニカ』にかける想い
ケープ(参考色)¥132,000、ブラウス¥54,000/ とも にレッドヴァレンティノ リング¥14,000/シトロンビジュー
――芸術の秋ですが、何か文化的な活動はしていますか?
最近、映画『search/サーチ』というアメリカのスリラー映画を見たのですが、ものすごく衝撃を受けました。失踪した娘を探す父親の話なのですが、ストーリーのすべてがパソコンの画面上で展開されていきます。私もリモート飲みやリモート打ち合わせなど、オンラインの画面上でやりとりしていたこともあったので、リモートの可能性を感じました。あと、私は通っている大学で美術を専攻しています。今は西洋の美術や絵画の歴史などを勉強中です。本来なら美術館で生の絵画を見たいのですが、このご時世では海外にはなかなか行けないので、オンラインで世界の絵画を見られる『GoogleArts&Culture』というサイトをチェックしています。絵画の近くまで寄れたり、美術館を歩いているような感じでも見られたり、とても楽しいですよ。いちばん好きな美術館はフランスのオルセー美術館、印象派の絵画が好きです。アンリ・マティスの作品は色使いが面白いし、なんだかガーリーで可愛いんです。
――9月4日からPARCO劇場で上演される舞台『ゲルニカ』に出演されますね。
私の好きなアンリ・マティスは、『ゲルニカ』を描いたピカソのライバルだったそうです。偶然ではあるのですが、実は私が通っていた鹿児島の中学校にピカソの『ゲルニカ』のレプリカがあったんです。『ゲルニカ』はナチス・ドイツ軍によるスペイン・ゲルニカへの無差別爆撃の様子を描いた絵画ですが、私がこの絵を初めて見たときはかなりの衝撃を受けました。叫び声が聞こえてきそうなとても怖い絵だし、人間の悲痛な表情などは全然写実的ではないのに、戦争の悲惨さが伝わってきましたから。スペイン・マドリードにあるソフィア王妃芸術センターに、本物の『ゲルニカ』を見に行きたいと思っていたのですが、それもタイミングが合わずに行けていなくて、本当に残念です……。
――舞台『ゲルニカ』は、どのような話なのですか?
スペイン内戦下のゲルニカで懸命に生きる人々の群像劇です。私はゲルニカの元領主の娘・サラを演じます。幼馴染みの婚約者が戦いに参加するために出て行ってしまい、サラは街の食堂で街の人々や兵士たち、海外特派員と知り合い、各地で激戦が巻き起こっていることを知ります。そして、ひとりの兵士と出会い、恋に落ちる。でも、その彼は、ドイツ軍のスパイだった。そんな折に、サラの妊娠が発覚してしまうのですが、戦いが激しさを増し、ゲルニカへの空爆も始まってしまいます。
――PARCO劇場オープニング・シリーズでのヒロインとしては、上白石さんが最年少と聞きました!
わぁ!そうなんですね、知らなかった!それは光栄です。私が演じるサラはいわゆるお嬢様で、ずっと街で暮らす一般の人たちと自分が違うことに、疑問を抱きながら生きてきた女の子です。そして、ひとりの男性と出会い、恋に落ちる。どんな非情な状況でも、人は懸命に生き、懸命に恋をします。私はこれまでファンタジー系の役やキャラクター性の強い役が多かったのですが、今回は戦時下でたくましく生き抜いていくサラにシンパシーを抱いています。ストーリー自体はフィクションですが、ゲルニカ空爆は実際に起こった事実ですし、そんななかで懸命に生きていた人達がいたことも事実。ですから、今まで以上にしっかり背景を勉強して、知らなければならない歴史があると思っています。
――最後に意気込みを。
この舞台を通して、真実を伝えていきたいという思いがあります。真実はいいことばかりではない。悲しい出来事でも、芝居だからこそ伝えられることもあるし、それが役者としての責務のひとつなんじゃないかなとも思っています。今は新型コロナによる漠然とした不安を抱いている人がほとんどではないでしょうか。舞台『ゲルニカ』は1930年代の話ですが、今後どうなるかわからない危機感や社会の閉塞感は、今と似ている部分もあるかもしれません。現代に生きる私達が演じるからこそ、シンパシーを抱いてもらえると思っています。また、ピカソが描いた絵画の『ゲルニカ』を見たことはあっても、その背景や歴史を知っている人は少ないかもしれません。私は絵画もメディアのひとつだと思っているので、若い人にこそ好奇心を持って、知るきっかけになってほしいと思っています。
PARCO 劇場オープニング・シリーズ『ゲルニカ』
ピカソの名画に描かれたゲルニカの街、未来のために戦う人々の珠玉の人間ドラマ。
日程:東京 PARCO劇場9月4日(金)~27日(日)※10月以降京都・新潟・豊橋・北九州作:長田育恵/演出:栗山民也/出演:上白石萌歌、中山優馬、勝地涼、早霧せいな、キムラ緑子ほか
Photo_Toshio Ohno Styling_Ami Michihata Hair&Make-up_paku☆chan(Three PEACE)Interview_Akiko Takada Edit_Megumi Shimbo