Interview / 2024.07.29
【女優・穂志もえか】今年、事務所から独立「自分の人生をよりいいほうに舵を取りたい」
ディズニープラスにて配信中のハリウッド製作時代劇『SHOGUN 将軍』で、宇佐見藤役を公演した穂志もえさん。撮影のため訪れた、カナダ・バンクーバーでの滞在中に感じたことは? 今年、事務所を独立するまでの経緯や決意など、彼女の思いに迫るインタビュー。
穂志もえさんが語る気持ちの変化と決意
ブラウス¥27,500、中に着たキャミソール¥17,600、スカート¥36,300/すべてミディアム
藤とご自身が重なる部分はありますか?
芯が意外と強いところは似ているのかもしれません。作品の中で、相手を遮って銃口を向けるシーンがあるのですが、いざとなったらバッと進んでいく思い切りのよさというか、危なっかしさはあるかもしれないけれど、たまに怖いもの知らずのところは重ねていたと思います。
撮影はカナダ・バンクーバーで行われたそうですね。
8カ月滞在しました。私はすごく好きでしたね、バンクーバー。知らない人ともエレベーターで一緒になったら「Hi!」ってあいさつしたり、降りるときには、「Have a good day」って微笑み合ったり。街に出たら何人かと会話をして帰ってくるという毎日を海外で送れるとは思っていなかったので、そのあたたかさに支えられていました。到着したばかりのころ、英語を全部は理解できなかったのですがわかるまでゆっくり話してくれたり、紙に書いてくれたりと、優しい人や文化に触れましたね。みんな周りの目を気にしすぎないで、自分の好きなように、好きなものを着て、好きなことをして生きている感じがすごくよかったです。その文化の波に乗って、私も自分らしく生きられた8カ月だったと思います。
東京での暮らしは窮屈だと感じることも?
うーん……たぶん私の心持ちだなと思いますが、どうしても人の目を気にしてしまったり、この格好をしたらまずいかもと躊躇したり、自分で自分に制約をかけてしまっているところもあるかもしれません。でも、東京も大好きですが。
これまでの経験を通して、成長できたことや変われたことはありますか?
ちゃんと言葉にすることですね。察してもらい待ちとか気を遣ってねと雰囲気を醸すだけではなくて、「ちゃんと気にかけてくださいね」ということを健全にコミュニケーションとして伝えるようになりました。あとは、人のいいところを声に出して褒めるようにしています。海外の方は褒め上手で、自分を認めてくれる褒め言葉のシャワーをたくさん浴びさせてくれたんです(笑)。私はすごくうれしかったので、恥ずかしくなっちゃうような言葉でも素直に伝えています。誰とも違って、それが素晴らしいよって。
今年事務所を独立され、フリーで活動をされています。きっかけはなんだったのでしょうか。
愛情をかけてもらいながら作品を作る経験をしたことで、自分の人生を周りに任せすぎていたのかもしれない、とふと振り返ったんですね。もう少し自分の人生に責任を持つ……と言ったら大げさすぎますが、自分の人生をよりいいほうに舵を取りたいという感覚が強くなりました。今一度自分はどうなっていきたいのか、どうありたいのかと向き合う時間がカナダの経験を通して増えたんです。それを経て、独立を決めました。
穂志さんなりの仕事や生活のモチベーションを保つ方法をぜひ教えてください。
以前は、仕事がない日はただただ焦って過ごしていた気がするんですけど、今はその時間にやりたいことを詰め込むようにしました。それが結果的にモチベーションを保つことに役立っていると思います。例えばピアノや英会話、ボイトレ、日舞、殺陣など。積極的に予定を組み込んだことで、暇なのを悪いことと思わずに生きられるようになったんです。何かを習得しているっていう実感もありますしね。最終的に仕事に繋がることはまったく考えないわけではないけれど、純粋に楽しむ気持ちのほうが大きい。そうやって積み重ねることが、自信になっていく気がします。
穂志もえか
1995年8月23日生まれ、千葉県出身。講談社ミスiD2016でグランプリ受賞後、映画『少女邂逅』でデビュー。以降、映画やドラマを中心に活動。’23年『無駄な抵抗』(作・演出 前川知大)で初舞台を踏み、現在ディズニープラスにて配信中のハリウッド製作時代劇『SHOGUN 将軍』宇佐見藤役の好演が国内外から注目を集めている。現在映画『湖の女たち』(監督:大森立嗣)が公開中。
Photography_Ittetsu Matsuoka Styling_Momoko Sasaki Hair & Makeup_Aiko Tokashiki Model_Moeka Hoshi Interview_Sonoko Fujii Text & Edit_Miki Kuwamori