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Interview

Interview / 2024.07.26

女優・穂志もえかのプライド「私は今、誇りや自尊心のようなものを身につけている途中」

溢れる才能と唯一無二のピュアな輝きで国内外から注目を集める、女優・穂志もえかさんにインタビュー。今号のテーマ「Pride」に合わせて、“誇り”や“自尊心”を深掘り。インディペンデントなマインドを持つ、彼女の鼓動に耳を澄ませて。

穂志もえかさんにインタビュー

ドレス¥24,000、タンクトップ¥7,000、キュロット¥14,000/すべてビビィ

撮影はいかがでしたか?

楽しかったです! 素敵な衣装をいろいろと着させていただいたんですけど、中でも白いボリュームスカートを穿いたスタイリングのバランスがユニークで、特に好きでした。1ポーズ目にこの衣装を着られたことで気分が上がりましたね。フォトグラファーの松岡一哲さんとは何年も前からご一緒してみたかったので、今回撮影をしていただけたこともとてもうれしかったです。

今号のテーマは、「Pride」です。この言葉を聞いたときに、思い浮かべる姿はありますか?

“自分は自分”という在り方を持つことはすごく誇り高いだろうなって思います。決して冷たい人ではなくて、人には優しく、心は自立して豊かに暮らしていける人。なかなか難しいかもしれないけど、そういう人に憧れます。

穂志さんご自身には、それが備わっていると思いますか?

そうですね……私は今、誇りや自尊心のようなものを身につけている途中なのかもしれません。職業柄、比較されているような気持ちになったり、ときには自分から比較してしまったりする中で、自分の軸がまだ不安定だなと感じています。だから、周りからの評価によって自分の存在が揺らぐことがないように、これまでにやってきたものを信じる力を養っていきたい。心から信じられる人を大事にして、ときにはその人達の言葉や力を借りながら芯を固めていきたいと思っています。

誇りや自尊心を保つうえで、ファッションに頼ることはありますか?

ありますね。すごく大事だと思います。心から愛せるものを身につけることは力になるなぁって。最近、思い切ってジルサンダーのアイボリーのドレスを買ったのですが、そのドレスを着たときの自分がすごく好きだなって思えたんです。いつも完璧なおしゃれをしなきゃいけないわけではないけれど、自分を一段高めてくれるファッションの力をときには借りたいと思える経験でした。

ディズニープラス「スター」で独占配信されているドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』がフィナーレを迎えました。初めての時代劇に出演する中で、どのように役作りを進めましたか?

1600年関ヶ原の戦い前夜の日本が舞台なんですが、まずは当時の生活を知ることから始めました。私が演じた役どころ、三浦按針の日本人妻という人は実在はしていたのですが、ほとんど資料が残っていないんです。けれど、当時の人がどんな服を着て、何を食べて、どんな趣味を持っていたのかなど生活全体を知ることで、心に少しでも近づけたらと思って、図書館に通い本を読み漁りました。それから、浴衣を着て所作を制限した暮らしをしてみたり、日舞を習ったりと、体に動きも覚えさせていきました。中でもいちばんありがたかったのは、エグゼクティブプロデューサー・ジャスティン・マークスの存在です。zoomで顔合わせをしたときに「何か困ったことがあったらいつでも連絡して」と言ってくれたので、それを真に受けて、すぐに宇佐見藤(以下「藤」)の生い立ちやキャラクターについて質問をしたんです。そうしたら、「君が僕にいちばん最初にアクセスしてきた俳優だよ」って言われて(笑)。心配性のあまり積極的にコンタクトを取ったおかげで、藤に近づくことができたと思います。ジャスティンの“何でも話してね”というおおらかな人柄に助けられました。

藤は夫と子を亡くして、そのあとの人生も誇り高く生きる女性です。演じるうえでどんなことを大切にしましたか?

わりと素直に演じていたかもしれません。藤は19歳の設定。まだ若く、名家で育ち、それまでは何不自由なく過ごしてきた人生なので、自由に多少感情的になっても許される人という共通認識をジャスティンとのミーティングで持ちました。状況に素直に反応して、怒ったり、泣いたり、笑ったり……藤の感情に正直に演じようと思っていました。殿の命が絶対で、嫌でもそれが生きる理由になっていた時代。気持ちを押し殺しながらも懸命に生き、さまざまな宿命に直面する中で自然に変化していった藤の心に自分を委ねたという感じです。

穂志もえか

1995年8月23日生まれ、千葉県出身。講談社ミスiD2016でグランプリ受賞後、映画『少女邂逅』でデビュー。以降、映画やドラマを中心に活動。’23年『無駄な抵抗』(作・演出 前川知大)で初舞台を踏み、現在ディズニープラスにて配信中のハリウッド製作時代劇『SHOGUN 将軍』宇佐見藤役の好演が国内外から注目を集めている。現在映画『湖の女たち』(監督:大森立嗣)が公開中。

Photography_Ittetsu Matsuoka Styling_Momoko Sasaki Hair & Makeup_Aiko Tokashiki Model_Moeka Hoshi Interview_Sonoko Fujii Text & Edit_Miki Kuwamori