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Interview

Interview / 2022.07.15

アフリカの学校事情とは?|私たちのためのSDGs入門vol.5

bis LEADERSの世良マリカちゃんと一緒にSDGs(エスディージーズ)を学ぶ連載「私たちのためのSDGs入門」。Vol.5では、渋谷の商業施設「MIYASHITA PARK」に店舗を構える「CLOUDY(クラウディ)」の銅冶(ドウヤ)社長にインタビュー! 今回も、アフリカでの学校建設についてなど盛りだくさんな内容でお届けします。

ブランドCLOUDYとNPO法人Dooooooooの関係

ガーナの地で多くの雇用を生み、ブランドの知名度もますます上がってきている「CLOUDY」ですが、NPO法人Dooooooooとは、どういう関係性を持って運営しているのでしょうか。

――単刀直入ですが、ブランドを立ち上げるときの資金とかどうしたんですか?

「自慢じゃないですが、資金は100%自己資金です! 約7年間のサラリーマン時代に、コツコツと貯めたお金を使ったので、出資も借り入れもなし! 変なプライドが働きましたね(笑)」

――すごいですね! ふたつの事業を動かすのは大変じゃないですか?

「CLOUDYをやっている株式会社と、NPO法人の両方をやることで、それぞれがうまく循環していく流れを作りました。営利と非営利の間を、お金や人や技術がグルグルと回っているイメージです。CLOUDYで作った売り上げを、NPOに還元しながら、そこでまた新たな人材を育成していく。そしてCLOUDYにもいいことが帰ってくる。この循環こそが、僕たちがボランティアではなく、継続的に支援や運営を続けられるカギなのです」

――NPO法人は主にどういったことをしていますか?

「主には教育、雇用、健康の3つの柱になっています。教育は、学校建設や運営。今、ガーナで幼稚園と小学校と中学校を運営していて、今後、クリエイターを育成する専門学校も開校予定です。雇用は、雇用支援が中心。健康は、給食支援や性教育支援、布ナプキンの提供など多岐に渡っています」

学校を創るにあたって苦労したこと

日本の常識がまるで通じない、アフリカでの学校設立。苦労することや驚くことも多かったそう。

――学校を建てるにあたってまず意識したことは何ですか?

「僕たちの学校は、公立であることに特化しています。これまでも多くの団体が、アフリカに学校を創ってきましたが、ほぼ継続していないのが実情。それは私立の学校を建ててきたことが原因なんです。“学校を建てること”が目標になってしまい、運営を続けることができなくなる。私立だと、当然ずっと運営費用がかかりますからね。その点、僕たちの学校は公立なので、政府を巻き込んで運営をしています。最大の出費である、先生のお給料は、政府が捻出しているんです」

――そんな簡単に政府を巻き込むことができるとは思えないのですが。

「もちろん簡単ではありませんでした。村の大人たちもみんながリスクを持つことになりますから。賄賂を要求されたこともありますけど、常に強い信念を持って、信頼を掴み取ることで、徐々に協力してくれるようになりました。地域と一体になって、創り上げることで、たとえ僕たちが運営に関わらなくなったとしても、ちゃんと学校が存続していく。ここまでやることが、建てる上での責任だと思っています」

――アフリカの場合、学校に通い始める“就学率”は高いけど、学校を卒業する“修学率”は低いと聞きますが、どうですか?

「日本とアフリカでは、当然ながら教育の優先順位が大きく違っています。子どもを学校には行かせたいけど、自分たちが学校に通ったことがないから、親にはその重要性がわからない。家のお手伝いを優先して、結局学校に来なくなる子がほとんどでした。そこで、1番のキーワードとなるのが、給食なんです」

――なるほど。給食があれば来ますよね。

「そうなんです! 僕たちの学校では、給食を毎日提供することを絶対条件としています。給食が食べられるのなら、学校に行ってきなさいって親も送り出してくれるんです」

――授業の内容は日本の学校と変わらずですか?

「国語、理科、算数など、授業の内容は大体同じですが、大きな違いがひとつ。それは、音楽や体育みたいな机の上以外での授業がないことです。その生徒の“才能を伸ばしてあげよう”といった考えは、アフリカの学校には現状でなかなかありません。学校とはあくまでも勉強を学ぶ場所であるという認識です。とはいえ、せっかくなら何かしらみんなでやりたくなるじゃないですか! なので、スポーツフェスティバルを定期的に開催して、勉強以外の場も提供するようにしています。スポーツを通して感じるのは、アフリカの子どもたちの喜びを素直に表現できる能力の高さ。日本人が圧倒的に負けている部分ですよね」

先生にも毎日ちゃんと来てもらうために

子どもが来なくなってしまうのと同じように、先生が来ない問題もあるのだとか。

――公立の学校だと先生はどうやって選ばれるんですか?

「先生は政府から派遣されてきます。なので、家が遠かったりすると、天候によって先生が来れないことも多くて。そこで、学校の敷地内に先生の住居を作ることにしました。生徒たちはもちろん、先生たちにもずっとここで働きたいって思ってもらえるような学校創りをしたいですね」

――大学のゼミでも、学校に来なくなってしまう子どもたちが多いと聞いて、解決策はないのかとずっと考えていましたが、給食にヒントが隠されていたとは。学校まで、自宅から3時間かけて歩いてくる子もいるそうで、そういったアフリカの教育事情を聞くと、近くに学校があって、学びの場があることに感謝しないとって気持ちになりますね。

次回は、アフリカのゴミ問題や銅冶社長的SGDsについての考え方などをご紹介♡ お楽しみに!

CLOUDY
https://cloudy-tokyo.com/

NPO法人Doooooooo
http://npo-doooooooo.org/

<Profile>

世良マリカ(せらまりか)  2002年11月16日生まれ 神奈川県出身
世界三大ミスコン「ミス・ワールド2019ジャパン」にて、史上最年少16歳、現役高校生で「ミス・ワールド2019日本代表」に選出。2021年4月より慶應義塾大学に在学中。プラチナムプロダクションのSDGs推進プロジェクト「SO GOOD!!シブヤ部」のメンバーとして参加。
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Photo_Osamu Takeishi Text&Edit_Ryuko Hanada