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Interview

Interview / 2019.12.06

対談「伊藤万理華×根本宗子」お互いの可愛いところとヒステリックにまつわる共感ポイント?

アイドル時代から、独特の感性と表現に対する熱意を示し続けていた伊藤万理華。乃木坂46卒業から2年が経とうとするいま、「私がやりたかったものだ!」と思える舞台への出演が叶いました。そんな月刊「根本宗子」『今、出来る、精一杯。』の公演を控え、演出・根本宗子との初対談が実現!

 

――演者・伊藤万理華はどんな感じですか?

根本:万理華ちゃんはセリフを言う直前にお菓子を食べちゃうのが可愛い(笑)。セリフがないときに食べればいいのに、なんかモゴモゴしたまま(笑)。

 

伊藤:私が今まで出た舞台って、「ここでセリフを言って、こう動いて……」みたいに動きが全部きっちり決まっているものが多くて。根本さんの舞台はそうじゃなくて、役者さんの感性の動きを優先してくれるのが嬉しくなっちゃって。お菓子も好きなときに食べられるので……セリフが言えなくなっちゃった(笑)。

 

根本:あはは(笑)。かたいお煎餅みたいなのを選んで、バリバリいいながら食べているのが可愛かった。

 

伊藤:さすがにそこに関しては、感性どうこうよりもお煎餅を食べる音で周りの声が聞こえなくなっちゃうから、気を付けないと(笑)。

 

根本:でもそうやって体が赴くままに動いてくれるのが私はすごく見ていて楽しいし、まあ、お菓子をいつ食べるかなんていつでも決められるじゃないですか(笑)。だから万理華ちゃんがやりたいように動いてみてくれるっていうのはやりやすい。そのなかで良い動きをチョイスしていくっていう。

 

 

――おふたりは本当にハマってる感じがしますね。伊藤さんから根本さんの可愛いと思うところはあったりしますか?

伊藤:え!? 可愛いところ!?

 

根本:私の可愛いところなんてないですよ(笑)。

 

伊藤:いや! 私が今まで観た根本さんの作品では、女の子が男の子に強く言ってしまうというシーンがあって、それって全部根本さんの経験からなのかなって思っていて。もちろん、根本さんの周りにそういう面白い人たちがいるっていうのもあるかもしれないけど、根本的に私と根本さんはヒステリックになっちゃうところが似ているんだろうなって。だから、私がヒステリックになっちゃう気持ちもわかってくれるんだろうなっていうか、私にはきっと寄り添ってくれるって気がしていて。可愛いっていうより、女の子の味方をしてくれる。それに私はすごく勇気をもらってますね。

 

根本:この人は普段ヒステリックになるだろうなっていうレーダーだけはすごく働くんですよ(笑)。

 

伊藤:懇親会のときに「なんで分かるんですか?」って思わず聞いたら、レーダーの反応が強いからって。

 

根本:ヒステリックなシーンをやるのは、普段ヒステリックにならない人よりもなる人の方がうまいんですよ(笑)。「なんで!? なんで!? なんで!?」って叫びながら入ってくるシーンがあるんですけど、「なんで!?」以外の言葉がでないみたいな状態にすぐもっていける。自分も20代前半そうだったので、近いものを感じます(笑)。

 

伊藤:絶対そう。

 

根本:でも落ち着いてきますよ。年齢が上がれば(笑)。

 

伊藤:あはは(笑)。落ち着いていきたいですよさすがに。今はちょっと自制が効かないんで。

 

根本:でもそうは見えないですよね。

 

伊藤:いえいえ。

 

根本:すごくちゃんと物事を進めていきそうに見える、なのにヒステリックってのが厄介なところですよね(笑)。

 

ヒステリックを包み込んでくれる男性に出会いたい

 

――そういうのを理解し合えるのってやっぱり女性同士ならではですよね。

根本:そうですね。

 

――男性にはわかってもらえますか?

伊藤:そういうところも「いいよ、いいよ」って包み込んでくれる人に出会いたいです。「なんで!? なんで!? なんで!?」ってなっても、「はいはい、分かったよ」って言ってくれるような人と(笑)。

 

――いそうですか?

伊藤:いー……や……い、い、いるかもしれないですけど……。根本さんはいろんな人と出会ってるから……どうですか? いましたか?

 

根本:いなかったから落ち着いたんじゃないですか(笑)。知り合いでも、そういうヒステリックになっちゃう子がいて。その子の結婚した相手は、「なんで!?」ってヒステリックなるとお姫様抱っこして、ゆすってくれるって(笑)。

 

伊藤:えーーー!?

 

根本:でもそれをやってほしくて、ヒステリー起こしてるって言ってた(笑)。

 

伊藤:ちょっとわかります。

 

根本:あはは(笑)。器がでかいなって思いますね。

 

伊藤:そういうの、めっちゃ理想です。

 

 

――最後にもう少し舞台の見どころを。今回の舞台で伊藤さんの歌のシーンがあるんですよね

根本:そうです、可愛らしい。いままでの乃木坂46のものや、ソロになってからのとはまた違う曲で。万理華ちゃんの声に清 竜人さんが寄り添った音楽を作ってくださっているので、ふたりのコラボレーションもめちゃくちゃ見どころです。

 

伊藤:最初に歌うって聞いたときには、こんなに歌うパートが多いとは思わなかった。

 

根本:竜人さんの次にたくさん歌ってる(笑)。

 

伊藤:そう。だからびっくりしました。しかも序盤の方で歌わせていただくんですけど、失敗したらあとがグダグダになっちゃうかもっていうプレッシャーがすごくて(笑)。でも竜人さんが寄り添って作ってくださってるから、あたたかく見守ってくれてるような雰囲気が伝わってきて、安心して歌えてるのかもしれないです。

 

根本:一曲全部を万理華ちゃんがひとりで歌うところもあって。万理華ちゃんが歌うと、稽古場のみんなも微笑ましくなる(笑)。

 

伊藤:みなさん、まるで親みたいな感じです(笑)。

 

 

対談前半はこちら
伊藤万理華インタビューはこちら

 

舞台『月刊「根本宗子」 今、出来る、精一杯。』
作/演出:根本宗子
音楽:清 竜人
出演:清 竜人・坂井真紀・伊藤万理華・根本宗子ほか
公演日程:2019年12月13日(金)〜19日(木)
公演場所:新国立劇場 中劇場
公式HPはこちら

 

 

伊藤万理華(いとう・まりか)
1996年生まれ。2011年に乃木坂46に1期生メンバーとして加入。2017年にグループを卒業後、2017年12月ソロ活動を開始。女優業のほか、ファッション・アート・映像などを融合させた個展を開催するなど多方面で活躍中。

 

根本宗子(ねもと・しゅうこ)
1989年生まれ。19歳で劇団、月刊「根本宗子」を旗揚げ。劇作家であり、演出、俳優とマルチな才能を持ち、外部作品にも多数出演。劇団の本公演以外に、ラジオパーソナリティ、ドラマの脚本など、演劇以外の分野でも精力的に活動中。

 

 

 

Photo_Erika Iida