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Column / 2019.01.08

伝説的デザイナー・イヴ・サンローランが描くシニカルな絵本の世界

インスピレーションを刺激してくれるビジュアルブックを紹介する連載企画。伝説的デザイナー、イヴ・サンローランが描いたこんな絵本があるのを知っていますか? 今月は、“オシャレ”だけに留まらないユーモア満点の絵本を紹介します。

 

伝説的デザイナーが描くシニカルな絵本の世界

黒×赤のシンプルなタッチで描かれえた可愛い登場人物、’50~’60年代当時のモダンな洋服の数々に魅かれて読み始めると、破天荒な行動を躊躇なく繰り広げる主人公「ルル」にびっくり! 大人が眉をひそめることなら何でもしらみつぶしに実行していく“小さな暴君”に圧倒されてしまいます。しかし読み進めるうちに、ナンセンスな言葉遊びを交えながら、世相や流行をユーモアたっぷりに風刺していく奔放な姿に、いつしか声援を送っていたりして……。この痛快なキャラクターを生みだしたのは、名門メゾン「クリスチャン・ディオール」でアシスタントとして働き、翌1957年にディオールが急逝すると、後任として異例の大抜擢をされた若干20歳の若者、イヴ・サンローラン。ディオールのデザイナーを退任後、自身のメゾンで数々の革命的作品をクリエイトした彼のライフストーリーは、数々の評伝やドキュメンタリー映画としても語り継がれています。このユニークなコミック絵本は、そのきらびやかな表の才能に隠された、皮肉とユーモアに溢れるもう一つの顔がのぞき見られる貴重な一冊です。

おてんばルル

著/イヴ・サンローラン 訳/東野純子 2006年/¥2,800(河出書房新社)

 
関連本もcheck!

『アンディ・ウォーホルのヘビのおはなし』

著/アンディ・ウォーホル 訳/野中邦子 2017年/¥2,000(河出書房新社)

アンディ・ウォーホルが広告イラストレーター時代に描いたスケッチをもとに、絵本として再構成した一冊。「セレブリティ達との交流を自慢するカラフルな蛇」を主人公にしたセルフパロディ的なストーリーに思わずニヤリ。

 

『CAHIER DE COLORIAGE YVES SAINT LAURENT DE POCHE』

著/イヴ・サンローラン 2011年/French and European Publications Inc; P’TIT GLENAT edition Amazonで見つけられることも。

サンローランが描いたオートクチュールのデザインスケッチからセレクトされた「ぬり絵本」。実際に作られた洋服の写真や当時のノートなども収められていて、パラパラ眺めているだけでも楽しい。もちろん実際に塗っても!

 
Selected by Tomo Hatori
’90年代より都内某所の写真集専門店勤務。現在は世界中のアンダーグラウンドな美術作家を紹介するレーベル「KODANUKI PRESS」の企画、制作を担当。

  • model

    Amy

  • styling

    Karen

  • other

    Miri
    Tomo Hatori
    Sakiko Fukuhara
    Yui Morishita