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Column / 2018.04.14

子ども向けなのに大人もじっくり読んでしまう写真絵本とは?

人形を主人公にしたデア・ライトの写真絵本をご存知ですか?
可愛い小物をふんだんに使い、美しいモノクロ写真で構成した『小さなお人形の物語』。
ギンガムチェックのカバーが可愛らしく、
ほのぼのとした愛らしい世界観の背景には、一人の女性作家の孤独な人生が隠されているのです。

 

写真絵本から女性作家のライフストーリーが垣間見える

1957年にアメリカで出版された『小さなお人形の物語』は、児童書の傑作として、’81年までシリーズが続いた人気の写真絵本。
作者のデア・ライトは女優・モデルとして活動後、セルフポートレイトを撮影したことがきっかけで、作品のアイデアを思いつきました。

それは、幼少期に母親からプレゼントされた少女の人形をモデルにしたもの。

主人公の人形は作者の母親と同じ“エディス”と名付けられますが、外見はデアに似せてカスタマイズされています。
このねじれた設定には、彼女を溺愛する母親との相互依存のような母子関係が反映されているのだとか。

また、物語に登場する2体のテディ・ベアは、2歳で生き別れになった兄から後年プレゼントされたものだそう。

デアの伝記本『THE SECRET LIFE OF THE LONELY DOLL』も読んでみて。
彼女の痛ましい人生を知ると、
「広いお屋敷に一人で暮らす少女のもとに、ある時テディ・ベアの親子が訪ねてきて友達になってくれる」というストーリーに作者の計り知れない孤独を感じてしまいます。

 

『小さなお人形の物語』

作・写真/デア・ライト
訳/礒みゆき
2010年/ポプラ社
¥1,300(ポプラ社)

 

Jean Nathan
『THE SECRET LIFE OF THE LONELY DOLL』
2005年/Picador

 

Selected by Tomo Hatori

’90年代より都内某所の写真集専門店勤務。現在は世界中のアンダーグラウンドな美術作家を紹介するレーベル「KODANUKI PRESS」の企画、制作を担当。

  • photo

    Ittetsu Matsuoka

  • model

    Serena Motola(SOEN)

  • styling

    Koji Oyamada(The VOICE)

  • other

    UCO(The VOICE)
    Yui Sakamoto(TRON)
    Tomo Hatori
    Sakiko Fukuhara